STORY
多国籍連合 アンドラプロジェクトは、多国籍の俳優の共演です。
各、俳優は、自分の国の言葉で話します。
字幕はありません。
ぜひ、舞台の上で起こる事を、ご自身の目で見て体験をして頂きたいと思っております。
ですが、内容がわかりずらいというお客様の為に、こちらに場面別ストーリーを記載しました。
事前に、読んでおきたい方は、どうぞこちらを読んでお越しください。
観るまでは知りたくないというお客様は、当日をお楽しみに。
第1幕
1)広場
聖ゲオルグのお祭りを明日に控え自宅の壁を白く塗っているバルフリンに軍人が色目を使う。 通りかかった神父(シスター)はそんなバルフリンと、酒を飲んでは同胞のアンドラ人を罵るバルフリンの父(教師)を心配する。 バルフリンは隣国の黒い軍隊が攻めてくると心配するが、神父はありえないと言う。 街の飲み屋でバルフリンの父は、家具職人の親方に、養子の息子アンドリの弟子入りを頼むが、高額な弟子入り料を求められ、悩んだ末に自宅の土地を売って金を作る決意をする。 酔って暴れ、飲み屋から追い出された軍人が、居合わせたアンドリをユダヤ人と罵り喧嘩を売る。
【宿屋の主人の証言】
村の皆は、アンドリは教師の養子だと聞かされていた。本当の息子だったとは誰も知らなかった。自分はアンドリを見下したことはなく、あの事件について自分に罪は無いと証言する。
2)バルフリンの部屋
アンドリは、「ユダヤ人だから」と村の皆に憎まれ排除されている自分の境遇について考え込んでいる。そんな彼を不憫に思うバルフリンは彼への深い愛情を伝えるが、アンドリは自信を失い、人間が持っている「悪」について語る。人は皆自分の中にある「悪」を憎み、 その悪を誰か別の人間に押し付けてその人間を憎悪することでつかの間の平和を得ようとするのだと。
【家具職人の親方の証言】
家具職人の弟子入り料として50 ポンドを要求したのは、工房入りを諦めさせる為だったが、それはユダヤ人のアンドリが工房に入れば問題が起きることが明らかだったからで、心底アンドリの為を思ってしたことだった。あの事件について自分には罪がないと証言する。
3)家具職人の工房
アンドリは工房の兄弟子に誘われサッカーチームに加わる話で浮かれている。ところが親方から自分が作った椅子を無視され、他の弟子が作った粗悪な椅子をアンドリのものと決めつけられて、職人でなく販売員になれといわれる。親方の態度に激しく抵抗するが、結局受け入れる。
【弟子の証言】
工房でアンドリが受けた屈辱について自分がアンドリに謝ろうとした時、既にアンドリは堅く心を閉ざし話ができる状態ではなく、和解できなかった。あの事件について自分には罪がないだけでなく、アンドリの側にも責任はあると証言する。
4)アンドリの家
アンドリを診察に来た診療所の医者が、アンドリの父との親交や、自分の経歴を誇張してアンドリに話す。ユダヤ人の話をする医者の言葉がアンドリを傷つけ、帰宅した教師に追い出されるようにして医者は出て行く。
教師はアンドリの心を慰めようとするが、アンドリがバルフリンと結婚したいというのを聞いて強く反対する。アンドリに「自分がユダヤ人だから結婚を認めないのか」と聞かれ教師は怒って家を出てしまう。
5)バルフリンの部屋の前
深夜、アンドリはバルフリンの部屋に軍人が押し入ったことを知らずに、扉の向こうのバルフリンに「金を貯めてアンドラを出よう」と話す。酒に酔った教師が現れ、2人の結婚を認めない本当の理由を話そうとするが、アンドリは教師に失望して対話を拒否する。 教師は絶望して去る。バルフリンの部屋から出てきた軍人を見てアンドリは衝撃を受ける。
【軍人の証言】
最初からアンドリのことは嫌いだったが、自分は軍人としての任務を遂行しただけで、自分がアンドリを殺したのでは無いと証言する。
第2幕
6)広場の宿屋
黒い国との情勢の緊迫する中、黒い国から1人の女性がやって来る。スパイかもしれない女性を宿屋の主人が受け入れたと興奮する軍人や弟子、それに対して世界的に愛されている我が国は侵略されないと主張する医師。
そこへやってきたアンドリは軍人を挑発し暴行される。隣国から来た女性はアンドリを助け、彼こそ自分が探して来た息子だと直感し家へ案内してほしいと頼む。彼女は教師に会い彼が実の息子をユダヤ人だと偽っていたことについて批判する。
7)アンドリの家
女性はアンドリに彼女と教師の話を遠回しに聞かせる。彼らは愛し合い、世の中を変えたかったが、結局体制に屈服した。それは恐れたからだと。しかし、アンドリは気付かない。 再会を約束し、女性は帰ってゆく。教師は神父に、アンドリにユダヤ人ではなく教師の息子だという真実を伝えてくれと頼み、女性を見送りに行く。しかしアンドリは真実を 受け入れない。度々変わる真実の間でアンドリは自分が選択した真実を追求するのだと言う。 その頃、外に出た女性は道で石を投げられ殺されてしまう。 そして石を投げたのはアンドリだと言う噂が立つ。
【見知らぬ人の証言】 誰が女性に石を投げたのか立証することはできず、誰かに罪をかぶせるつもりもない、 自分はどうなったのか知ることができなかったと証言する。アンドリは好青年だったが、人は過去を忘れなければならないと話す。
8)広場
アンドラは、黒い国の軍隊に降伏している。街の人たちは家の中に隠れ、黒い国から来た女性を殺したのはアンドリだと噂する。
教師は銃を持ってさ迷い、アンドリを探し出す。教師はアンドリに、自分がアンドリををユダヤ人だと偽った理由を話し本当に自分の息子であることを信じてほしいと言うが、アンドリは拒絶する。教師は軍人に武器を奪われ、アンドリは逮捕される。
【医師の証言】 自分が何をしてたのか正確には覚えていないが、自分は何もしなかった。 みんなが間違っていたのは遺憾と考えているが、アンドリはどこかユダヤ人のようなところがあり、そんな時代だった。自分はどういう虐待行為にも加担しなかったが、 事件の経過については残念に思う、とアンドラを代表して話す。
9)広場
アンドラの広場で黒い国の軍隊はユダヤ人を選り分けるため、人々に靴を脱いで黒い布を被って広場を歩けという。医師はアンドラ人は心配する必要がないから積極的に協力せよと言う。 宿屋の主人だけは不安になり、頑なに黒い布を被ろうとしないが、そこに教師が現れ、アンドリを女性殺しの犯人だとする嘘のことで皆を非難すると、黒い布をかぶって人々の間に身を隠してしまう。教師はアンドリはユダヤ人ではなく自分の実の息子だと人々に主張するが、誰も聞かない。結局、アンドリは軍人に連行され殺される。 教師は首を吊って自殺する。バルフリンは半ば気が狂い、あちこちに白い塗装をして回って、 人々に問う。過去の自分たちの行動を思いだしなさいと、あなたたちはなぜ首を吊らないのかと ....。